最近、ミニバスケットボールの指導をしながら、自分はどんなコーチでありたいのだろう、と考えることが増えました。
「楽しく」と「厳しく」。自分はどちらを大切にしたいのだろう。
子どもたちには、とにかくバスケットボールを楽しんでもらい、好きになってもらいたい。
仲間と笑って、練習に来るのを楽しみにしてほしい。
これまでの私は、そんな思いを大切にしてきました。
一方で、最後の大会が近づくにつれて、「勝たせたい」という思いも強くなってきました。
きつい練習もする。
集中できていなければ厳しく声を掛ける。
できるはずのことをやらなければ、もう一度やらせる。
そして、そんな緊張感のある練習に、これまでとは違う充実感を感じる自分もいました。
努力して上手くなること。
苦しい練習を乗り越えること。
そして、その先にある「勝つ楽しさ」。
それを経験させることも、スポーツを教えるコーチの役割なのではないか。
そう考えるようになる一方で、自分の中には葛藤もありました。
私は、楽しんでバスケットボールを好きになってもらいたいのか。
それとも、厳しく練習して勝つことの楽しさを教えたいのか。
どちらが自分の目指すコーチングなのか、少し分からなくなっていました。
しかし、考えているうちに気づきました。
自分は、最初から何もぶれていなかったのかもしれない。
私が目指していたのは「子どもファースト」
振り返ってみると、私の根底にずっとあったのは、子どもファーストでありたいという思いでした。
以前、楽しい練習を中心にしていたのは、その頃の子どもたちが「仲間とバスケットをする楽しさ」を求めていたからです。
ところが今、子どもたちから感じるものが変わってきました。
「試合に勝ちたい」
「最後の大会で結果を残したい」
「県大会に行きたい」
その気持ちが強くなったからこそ、私も以前より高いものを要求できるようになったのだと思います。
つまり、自分が「楽しい指導」から「厳しい指導」に変わったわけではありません。
子どもたちが求めるものが変わったから、自分のコーチングも変わった。
私が目指したかったのは、「楽しいコーチ」でも「厳しいコーチ」でもなく、子どもたちが今求めているものを感じ取り、それを与えられるコーチだったのだと思います。
そう気づいたとき、自分はぶれていたわけではなかったのだと、自信を取り戻すことができました。
そして、自分の行動指針もはっきりしました。
「今、この子たちはどこまで求められたいのだろう」
これを考え続ければいいのだと思います。
子どもの「求めるもの」を引き出すのもコーチの役割
ただ、子どもたちの気持ちは、見ているだけですべて分かるわけではありません。
だからこそ、コミュニケーションが大切です。
「最後の大会をどうしたい?」
「県大会に行きたい?」
「本当にそこを目指すなら、今のままでいいと思う?」
そんな問い掛けをしながら、子どもたち自身に考えてもらう。
自分たちは何を目指したいのか、そのためには何が必要なのかに気づく場をつくる。
それもコーチングだと思います。
そしてもう一つ大切なのは、子どもたちは、まだ経験していないことの価値を知らないということです。
例えば、最後の大会。
大人なら「このメンバーで戦えるのはこれが最後」「もっとやっておけばよかったと思っても時間は戻らない」と経験から想像できます。
でも、子どもたちはまだそれを知りません。
だからこそ、その時間がどれだけ大切で貴重なのかを、子どもに分かる言葉で伝える必要があります。
あと何回、このメンバーで練習できるのか。
最後の試合が終わったとき、どんな気持ちでいたいのか。
「もっとやっておけばよかった」と思うのか、「やれることは全部やった」と思いたいのか。
そうしたことを伝え、考えるきっかけをつくる。
その中で子どもたち自身に、
「勝ちたい」
という思いが芽生えることもあると思います。
それは「勝たなければいけない」と大人が押し付けることとは違います。
まだ知らないことを伝え、問い掛け、自分自身の気持ちに気づいてもらう。
そこまで含めて、コーチの役割なのだと思います。
「楽しい」と「厳しい」は反対ではない
今回の経験を通じて、もう一つ気づいたことがあります。
「楽しい」と「楽」は違うということです。
仲間と笑いながらバスケットをする楽しさがあります。
一方で、
できなかったことができるようになる楽しさ。
苦しい練習を仲間と乗り越える楽しさ。
努力したことが試合で通用する楽しさ。
そして、本気で勝ちたいと思った試合に勝つ楽しさもあります。
だから、これまで大切にしてきた「楽しく」と、今の厳しい練習は矛盾していません。
むしろ、バスケットボールを好きになったその先に、
「もっと上手くなりたい」「もっと勝ちたい」
という気持ちが生まれた。
今の子どもたちは、努力したからこそ味わえる、もう一段深い「楽しい」を経験できるところまで成長したのだと思います。
子どもたちに合わせて、コーチもギアを変える
私が目指したいのは、「楽しいコーチ」でも「厳しいコーチ」でもありません。
子どもたちをよく見る。
たくさん話す。
まだ知らないことは伝える。
問い掛け、自分たちで考える場をつくる。
そのうえで、
楽しみたいときには、一緒に思い切り楽しむ。
上手くなりたいなら、本気で教える。
そして本気で勝ちたいのであれば、コーチも本気で勝たせにいく。
目の前の子どもたちが何を求めているのかを感じ取り、その成長に合わせてコーチングのギアを変えられること。
それが、今の私が考える理想の指導方針、「子どもファースト」です。
「楽しく」と「厳しく」の間で迷っていたようで、実はずっと同じものを見ていました。
子どもたちです。
そう気づいたことで、自分のコーチングの軸がはっきりしました。
そして今、子どもたちは本気で勝ちたいと思っています。
だったら私も遠慮せず、本気でその思いに応えたいと思います。
勝つことだけが目的ではありません。
本気で勝ちたいと思い、そのために努力し、仲間と苦しいことを乗り越えた先で、
「自分たちは、本気でここを目指した」
と胸を張れる経験をしてもらうこと。
今の私が、この子たちに与えたいものは、それなのだと思います。



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